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いがいが日記


2018-02-20 [長年日記]

_ 私の好きなRuby本 - Ruby25周年へのメッセージ

Rubyには好きな本がたくさんあります。今ではちょっと古くなってしまって話題に上らなくなってしまった本を中心に、私の好きな本の話を書きます。現在役に立つ本という軸ではなく、私が好きで語りたい本を挙げています。

一番印象に残っているのは「メタプログラミングRuby」。RubyConfへ行くアメリカ行きの飛行機で読み切った。この本を読む前と読んだ後で、Rubyのプログラムの見え方が変わった。Rubyプログラムの構造を説明してくれる本。とても興奮して、飛行機を降りてRubyConfの会場でmatzさんへ「ブロックってすごいですね!!」と話したのを覚えている。著者のパオロさんはRubyKaigiにも来てくれて、大きな身振りでユーモアに溢れるプレゼンをしてくれた。3年前に改訂版も出て、現役で読まれている本。

独特な語り口の「Rubyを256倍使うための本」。往年のRubyオールスターズが、それぞれの分野でRubyについて語り、自重しない感がとても良い。「網道編」は私がRubyを知るきっかけになったtdiaryのただただしさんと、数々のRuby本を書いているartonさんのゴールデンタッグで、物語を読むように楽しんだ。著者を知ってから読むと、その人が語りかけてくるようで、なおさら楽しめる。

Dave Thomasさんの「プログラミングRuby 第2版 言語編」。Daveさんの楽しさが伝わってくるような一冊。当時、Rubyがまだ分からず、特にeach文のブロックとブロック引数が全然分からなかった。そして半年ほど放置し、後で読んだらなぜか分かるようになっていた。

「Rubyレシピブック 268の技」。私がRubyを書き始めたときに一番お世話になった本。「○○する」のレシピからプログラムを調べることができて、組み合わせて日々の仕事を楽にするプログラムを書いていた。著者の青木峰郎さんと後藤裕蔵さんに会って直接お礼を言えたときはとても嬉しかったことを覚えている。レシピブックは他にもRuby札幌オールスターズの「Ruby 逆引きレシピ」と、るびきちさんの「Ruby逆引きハンドブック」があって、どれもとても良い本なのだが、対象Rubyバージョンやgemが古くなってしまった。Rubyレシピブックは改定して「Rubyレシピブック 第3版 303の技」がRuby1.9.2対応、kindle版が買えるので今でもお勧め。そして「Ruby逆引きハンドブック」は現在改定執筆作業が進んでいるとのことで楽しみだ。

関さんの「dRubyによる分散・Webプログラミング」。これはサンプルプログラムがとても楽しい。複数のプログラムを起動して協調して動かすのがとても楽しい。初刷り買えます。

Yuguiさんの「初めてのRuby」はYuguismが詰まっててとてもいい。リソースのブロックを書くときは {} を使おうとか。YuguiさんはRubyKaigiなどでの講演もすごく丁寧に話してくれてとても勉強になった。

高橋会長と後藤裕蔵さんの「たのしいRuby」。私がやった講義でも使ったし、島根県Ruby合宿でも使われている名著。初版が2002年で、改訂されて今でも読めるのは本当にすごい。最新は第5版、Ruby2.3対応。持っている人ごとに古い版と新しい版が同時に同じ机に置かれていたりして歴史を感じる。

_whyの(感動的)Rubyガイド 。書籍ではなくwebコンテンツ。ひさびさに読み返したが最高に楽しい。パワーがすごい。とても好きなのだが、説明するのは不可能なので好きな一節を引用する。「スカンクの背中の白いストライプや曲がりくねった花嫁の白いすそのように、Rubyの品詞には、たいがい見分けるための手がかりとなる視覚的なヒントがある。」

最後の1冊はChris Pineさんの「初めてのプログラミング」。ドラゴンを飼育するサンプルプログラムなど、ユーモアに溢れた語り口がとても良い。「楽しく分かり易く説明する」という点で素晴らしい1冊で、何度も読んで参考にしている。改訂版がRuby1.8時代の書籍。

PaoloさんChrisさん は、Ruby25周年イベントのメッセージを書いてくださいました。私がぜひ読みたい!と思ったので依頼しました。Ruby25周年の、とても嬉しいできごとでした。

Rubyの良い本はたくさんあるが、ここに紹介した本でも時代が流れRubyもバージョンアップして古くなってしまった本もある。また、他のプログラミング言語をやっていて、その後でRubyを学ぶ人がほとんどだった時代から、Rubyが最初のプログラミング言語である人も増えてきている。さらにはプログラミング義務教育化などの世の中の流れから、より簡単なレベルからプログラミングを学びたいと思う人も増えてきていると感じる。Rubyは直感的で分かり易い言語であるので、初めてのプログラミング学習にうってつけだと私は考えている。そんな本を出版すべく、ただいま執筆作業中なので、今年中には世の中に出したいと考えています。

Ruby25周年の今年も、Rubyはたくさんの贈り物をくれました。いつもありがとう、Ruby。

Ruby25周年イベント http://25.ruby.or.jp/ Ruby25周年イベントでは、Rubyの会会長の高橋さんが自分の蔵書を展示する企画もあります。これらの本もあるかもしれないのでぜひ会場で探してみてください。


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