2016-03-31 [長年日記]
_ Railsの教科書 電子書籍化
一橋大学の講義をするために書き始めたRailsの教科書が、3/31に電子書籍で達人出版会より発売されました。keynote資料を書籍の形式にまとめ、最新のRails5(beta3)へ対応させたものです。
講義をやって思ったことは、世の中の本はプログラマ向けに書かれているということ。受講している学生さんは初めてプログラムを書くという方も多く、RailsチュートリアルやRailsガイドなど良い資料はあるのですが、いきなりは難しいということ。ちょうど良いレベルの書籍や資料がないので、できるだけ分かり易い資料を書こうと心がけました。講義をやってみて難しそうにしていたところは追加で説明を加えながら講義を進めました。
そういえば講義の時は毎週講義がやってきて、それに間に合わせるために必死で資料を作って・・・というのを前後期それぞれ3ヶ月、講義をなんとか続けたのを思い出しました。富樫先生、休んでばっかりだとか思ってごめんなさい。最後の講義はドーナツと珈琲を買って持ち込んでみんなで食べながらみんなの発表を聞いたのですが、あれは私の最後までやりきった自分への褒美だったのかもなぁ。(笑)
ところでのこの書籍の内容はwebでも公開していますので、そちらも利用いただけます。読んでいただいて気に入ったら、または電子書籍で便利だからという形で買っていただければ。電子書籍になって良かった点はターミナルの実行結果と、プログラムがデザインとしてちゃんと区別できるようになったこと。講義時に、学生さんはターミナルの世界(shell)とプログラムの世界(Ruby)を区別するのが難しいということに気づきました。ターミナルにRubyのプログラムを打ってしまうわけです。電子書籍では両者が分かり易く区別できるようになっています。(Web版もそういう風にデザインしたいのですが・・・)あと、携帯で読めるのはやっぱり便利ですね。
また、今回の書籍化に伴い達人出版会の高橋さんにマークダウンをGFMに変更してもらったり、レビューしてもらったりしました。 特にテキストの静的解析ツールであるtextlintを導入していただいたので、日本語も少し良くなっているかと思います。同じ助詞の連続を直すのは案外難しいものですね。
最後に、特にこの本を取ってもらいたい方々へメッセージです。
学生さんのみなさんへ。Railsを覚えると企業でインターンやバイトという経験値稼ぎができるのは大きなメリットだと思います。spicelifeでも学生さんにインターンやバイトできてもらって、実際のサービスのコードを書いてもらい、活躍していただいてます。地方にいる方は、バイト代で短期の東京暮らしをしてみるのも良い経験ではないでしょうか。Web業界に興味がある人は長期休暇などにどんどん参加してみてください。
先生方へ。この書籍は半期分の内容を書籍にしています。1回90分で10回程度で説明できる分量だと思います。私のケースでは残りの3回でアプリを自由に作る課題を出したところ、みなさん面白い着眼点で取り組み全員がアプリを作ってデモしてくれました。若者の成長はすごいなと本当に驚きました。
新入社員の方、新人研修をする方へ。この資料はペースを上げれば1日で講義ができる分量です。Railsは初めてという場合にお勧めです。文中に理解を深めるためのRailsガイドへのリンクもありますので、ここを足がかりにRailsの世界へ入っていけるかと思います。
最後に、今まで講義のほか、Rails寺子屋やRailsGirlsいろんな場所でこのRailsの教科書を使って説明をしてきました。そのたびに得られる気づきがあり、それを資料にも反映させてきました。今まで私の資料を読んでくださったみなさん、説明を聞いてくれたみなさんに感謝します。