2007-09-30 冷たい雨、秋の始まり [長年日記]
_ [book] 不完全性定理
すごく久々に本を読みました。
dankogaiさんのところで紹介されていた「不完全性定理」。
数学の本です。以下、私の理解なので間違いなどあるかもです。
簡単に言うと不完全性定理はこういうことです。
「体系Zが無矛盾ならば、正しいのに証明できない理論式がある。」
ゲーデルさん(1906-1978)というチェコスロバキア生まれの数学者さんの証明した
この定理へ向かって話は進んでいきます。
前半は証明とは、体系とはという基本概念の解説。
定義と公理(定義を利用して作る前提)を適切に与えて世界(体系)を作り、
その中での性質を調べて(証明)いきます。
時代は20世紀初頭、フォン・ノイマン(チューリングマシンのノイマン)や
ヒルベルト(無限次元直交空間名にもなってるヒルベルト)らは
自然数の完全性(公理から全てのことは証明できるという性質)を証明しようとしていました。
しかしゲーデルはその希望を打ち砕く不完全性定理を証明します。
「自然数論を含む体系Zはもし無矛盾ならば、形式的に不完全である。」
1930年、ゲーデル24歳の偉業でした。
これのすごさは誰もが「完全性を証明できるだろう」と考えていたときに、
逆のことを証明してしまったことでしょう。
答えが正しいか分からない、あるいは存在するか分からない事柄を解決するすごさ。
直感的に正しいことをいくら考えても正しい裏付けがとれなければ、
その逆が正しいこともある、ということも有り得るわけですね。
一方で、「正しいことでも証明できるとは限らない」というのは非常に厳しいものです。
この定理を「人間の知性の限界」と安易に引用する人もいると思います。
#数学以外の分野の人にありがち。
おそらく、数学者たちが一生考えても証明できなかった問題たちはたくさんあるはずです。
でも、だからこそ人生はおもしろいのかもしれません。
この定理は未来に渡って数学者たちに好奇心の種を蒔き続けることができることの証明でもあります。
大変に面白い定理であると感じました。
これを知ると、フェルマーの最終定理の証明のすごさがさらに分かりますね。
残念ながら私は不完全性定理を十分に理解することはできなかったのですが、
丁寧に考え方を書いてある本(とっかかりとする本だと思う)なので挑戦してみたい方はぜひ。
学問の秋、今年もノーベルウィークがやってきます。
「体系Zが無矛盾ならば、正しいのに証明できない理論式がある。」<br><br>正しいのに証明できない、というよりは、正しいかどうか証明<br>できない、というものだと思いますが、数学自身の正しさを<br>証明できないという証明はすごいですねぇ<br>ゲーデル数…再挑戦してみようかな…
あー、そか、証明できなければ正しいかどうかわからんか。<br>でも本にも↑の言葉で書いてあるので、<br>何か読み落としてる意図があるのかなぁ。。。<br>ゲーデル数、私はダメそうなので理解したら教えてください。(^^ゞ