2013-01-26 [長年日記]
_ 1年間のRuby講義を終えて
4月から始めたRubyとRailsの講義が無事に終わった。最後は講義3回分の時間をつかって自由にテーマを決め、コードを書いてもらい、最後の回で発表してもらった。これはとても楽しい時間だった。学生さんが取り組んだ内容なこんな感じだ。
- twitter データを解析してどの駅がにぎわっているかを調べる
- 2人でプレイできるシューティングゲームの作成
- Excelと組み合わせたダーツ得点計算
- e-lerning Webアプリ
- 星座占いWebアプリ
- Twitter発言の解析
- 日の出、日の入の時刻をiPhoneへPush通知
「新宿 vs 池袋 vs 渋谷」なんていうキャッチーなタイトルもあったし、我々でも手を焼くcronの難しいデバッグに挑戦した学生さんもいた。発表では学生による相互評価もした。観点は2つ、学術点(学術的に興味深い、技術的にレベルが高い)とエンターテイメント点(たのしい、発表が面白い)。趣味のダーツをより便利に遊べるようなプログラムを書いた学生がエンターテイメント賞を、講義では全然やっていないゲームライブラリを使ってシューティングゲームを作った学生が学術賞を獲得した。学生さんがどの発表を評価したかはとても興味深かった。
なにより、コードと発表のレベルの高さに驚いた。twitter は講義でやった頃からAPIが変わっていて、データを取得するために開発者コードを取らないといけなくなっていたり、Excelへのアクセスは講義でやった方法だと行数が多すぎてうまくいかず、回避するように実装したり。実際に作ろうと思うといろいろな難関があるが、それを乗り越えていったのが素晴らしかった。今まで身につけたことで問題を解決できるように仕様を工夫したり知恵を出してもらった。選択科目だったので講義時間以外にやる学生はいないかと思っていたら、みんな熱心に取り組んで質問もたくさん受けた。これは教える側にとってはとても嬉しいことだ。
さて、1年の講義を振り返ってみる。先生の経験は初めてで全てが手探りだった。学生さんの初期レベルも成長速度も分からない、PCを持ち込んでもらったのでWindowsやMac、貸し出しPCはLinux、と環境も様々。始めてみると当然ながらこちらの想定と学生さんの反応が違うことばかり。プログラムを書くのは初めての学生さんがほとんど。プログラム的な思考、たとえば1〜10までの和を求めようとしたときにプログラマはこう考えることができる。
- 計算結果になる入れ物を用意する
- 和の入れ物は0で初期化しておく
- 1〜10まで繰り返して和の入れものに加えていく
これを思いつくことが高いハードルだということは講義がはじまってから分かった。確かに難しい。そこで課題をつくるときは一発で答えがでるものではなく、3ステップくらい踏んで答えが出るものを考えた。 コードを入力して実行することも難しい課題だと想定していたが、これは写経を続けてもらった結果、みんなできるようになっっていった。一方でRubyの文法はみんな理解が早く、こちらの想定以上だった。調査力も最後の課題でみんなかなりレベルアップしたと感じた。
講義資料の準備は大変だろうと予想していたが、想像以上に大変だった。想定とあわなかったり、もっと良いアイデアが思いついたりしたこともあって、4月前に事前に準備した分は5月には底をついて夏休みまでの残りの1ヶ月強はまさに自転車操業だった。でもこの資料はRailsGilrsMoreで再利用したり、ほかの人も使ってくれたりして活躍の場がいろいろあったことは嬉しい。講義資料は再編集してあとで公開したいと思う。(講義資料は こちら 。)
講義の資料はTAをやってくれた濱崎さんに事前にレビューしてもらって、本当にたくさんの有用な指摘をもらった。講義中も私が忙しくて目が届かないところを見てくれたり、講義内容にいろんなフィードバックをくれた。本当に感謝しています。もし濱崎さんがいなかったと思うと恐ろしいです。
ほかにも先生業をやって感じたいろんな感情や様々なノウハウはあるのだけど、それはいつか言葉にしてどこかで話せたらいいと思っている。そうそう、一橋大学は緑が多くて建物がかっこよく、とても良いところ。特に桜の季節はとてもきれいなのでぜひ散歩にいってみるといいよ。
最後にお礼を。講義の機会をくれたルイス先生と、大場夫妻、スポンサーのNiftyさんに感謝します。応援してくれた万葉のみなさん、twitterやfacebookで励ましてくれたみなさん、本当に元気がでました。ありがとうございました。濱崎さんは上で書いたからまぁいいや。ありがとさん。w なにより、受講してくれた学生のみなさんに感謝を。週1回の学生さんとの講義の時間は私にとってとても楽しい時間でした。ありがとう。
そして、来年度もう1年講義をやることになりました。ありがたいことです。でもまずは春休み期間をのんびり過ごしたいです。w
お疲れ様でした~<br>学生さんたちの発表、面白そうですね。<br>春休み、ゆっくり休んで、また来年度へのアイディアをいろいろ見つけ出してくださいね。
>あるとさん<br>いつも応援ありがとうございます!来年度もがんばります〜。:)