«前の日記(2006-05-29) 最新 次の日記(2006-06-01)» 編集

いがいが日記


2006-05-30 [長年日記]

_ マーチンファウラー講演会

参加してきました。

内容はwebに載ってた内容だったので目新しさはなかったのですが、

生で聞くとどこを重要と思って話してるのかが分かっていいですね。

本にサインももらっちゃいました!(^^)

以下、メモより。

日本語同時通訳が入ると展開が遅いなぁ、と不満だったのですが、

意味がつかめない文も多かったのでなかったら大変でした。(^^;)

■マーチンファウラー講演

学会で発表されるような新しいことよりも、

私は歴史に興味がある。

よくできた過去の技術から学ばなければならない。

---

プロジェクトのベテランは、

経験の浅いエンジニアに技術を伝え、支えなければならない。

パターンはその役に立つ。

---

経験上、一番重要なのはパターンに名前をつけることだ。

すべてを理解しなくても、パターンの想像がつくもの。

既に他で使われている言葉、多数の意味をもつ言葉は避けるべきだ。

パターンを記述する際に大事なのは境界をはっきりさせること。

---

イベントベースのアプリケーション(イベントコラボレーション

データを欲しいとき、データを取りに行くにのではなく、

送られてくるイベントに耳を傾け、必要であれば保存する。

多数のマシンからデータに集中的にアクセスされることはない。

■オフショア開発の現状と今後 トランスコスモス社

単価が下がるのは当たり前。

品質も日本以上にならなければ意味がない。

---

上流工程をどこまでオフショアに出せるか。

ただコーディングするだけではテストの意味も分からない。

日本で設計要員を多く抱えるリスクも減らせる。

---

中国のエンジニアは

イレギュラーケースを細かく考えることはやりたがらないらしい。

---

通訳を介してプロジェクトを進めると、失敗するだろう。

多少下手でも日本語で話した方が速い。

■アジャイルとオフショア(マーチンファウラー)

従来型のオフショアは最初の段階で要求を固めてしまう。

アジャイルでは、要求をコントロール下に置き、

変えることができるようにする。

---

アジャイルではプロセスよりも人を重視する。

ただ1つ、プロジェクトの成否を決めるものがある。

それはプロセスではない、人なのだ。

---

ポイントは有能な人をどうやって集めるか。

人をどうやって力を発揮させるか。

---

オフショア開発で最も重要なものの筆頭は、

継続的なインテグレーションだ。

CruiseControlのような継続的なインテグレーションツールを使う。

全世界の拠点のうちで、1つの拠点をソースのホストとする。

他の拠点ではそのホストにあるリポジトリにチェックインする。

ホストのそばにCruiseControlをセットする。

ソース管理ツールにはSubversionを使用している。

インドのエンジニアは朝、CruiseControlのページを開き、

アメリカのエンジニアがどこを変更したかを把握する。

これはなかなかうまくいっている。

---

コミュニケーションに2つの手法を使っている。

最初の段階で実際に会ってコミュニケーションをはかるのが大事だ。

旅費も時間もかかるが、これは必要だと結論づけた。

プロジェクトの最初でほぼ全員メンバーが2週間程度同じ場所に集まる。

例えば要件の洗い出しをしあたり、アーキテクチャを考えたり。

お互いに協力する方法を手探りでさぐる。

文化や言葉の障害もあるだろう。

ここで大切なのは、一緒に働くことで個人同士のつながりを作ることだ。

絆をつくるために、一緒に食事をしたり観光をすることも大事だ。

---

次の段階は、インドの人がアメリカに、アメリカの人がインドへ常駐する。

この人は、それぞれのチームを代表する意見を出せる人でなければならない。

滞在期間は数カ月(6カ月)だが、これ以上滞在するのは好ましくない。

もともと所属していた側とのコミュニケーションが弱くなってしまうからだ。

長期的に仕事を行う場合に特にこの手法は有効だ。

---

1つの問題は文化的な問題だ。

アメリカでは、上司の命令がばかげていたら指摘するのが普通だ。

ところがインドでは、上司の命令に指摘すること事態が失礼なのだ。

アメリカ式の方法をインド側に提案したところ、

ありがたいことに彼らは受け入れてくれた。

---

10分程度のスタンドアップミーティングをリモートでやってみた。

アメリカとインドの業務時間は重ならないので、

毎日行うことは不可能だ。

そこで、各拠点では毎日全員でミーティングをやり、

数人が拠点間でミーティングを行う。

---

最も重要な結論は、

オフショアでアジャイル開発は可能であるということだ。

もちろん、単一拠点でのオフショアよりも難しい。

拠点をわけることは、効率が当然落ちる。

コストと効率のトレードオフである。

---

追記:ファウラー氏のサイン写真を追加。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
_ アキオ (2006-05-30 21:27)

マーチンファウラー!<br>羨ましい(>_<)

_ いが (2006-05-30 23:52)

サイン本の写真をUPしました。(自慢げ)(^^ゞ

_ TrackBack (2006-06-02 00:19)

http://f56.aaa.livedoor.jp/~tdnr/ppblog/index.php?id=06060001<br>せつないぶろぐ<br>リファクタリング@自分<br>マーチン・ファウラー来日記念 ITトレンドセミナー〜SOAからオフショアまでIT業界の最新動向を探る〜参加(5/30)してきました。■『エンタープライズアプリケーションアーキテクチャ...

_ TrackBack (2006-06-02 16:01)

http://yazin.seesaa.net/article/18738521.html<br>野人観察日誌<br>マーチン・ファウラー氏セミナー<br>行ってきました。 風邪で寝込んでてレポートが遅くなりました。 以下、簡単に各セッションの内容と感想をば。 「エンタープライズアプリケーションアーキテクチャとSOA」 ThoughtWorks,Inc. マーチン・ファウラー氏 ソフトウェアパターンとSOAについての話。 パターンは..


«前の日記(2006-05-29) 最新 次の日記(2006-06-01)» 編集