2007-02-10 夜から雷雨、轟音の落雷 [長年日記]
_ [book] ITとカースト インド・成長の秘密と苦悩
経済ジャーナリストの伊藤洋一さんの本。
ご自身のpodcastで紹介していたので買ってみました。
インドでITがこれほど爆発的に力をつけているのはなぜか?
という疑問は私も持っていました。
英語ができるから、アメリカと時差が12時間あるから、
これを読む前は↑といった辺りしか思いつかなかったのですが、
読了後にはカースト制度が一番大きな要因なのではないかと思うようになりました。
カーストは教科書にも載っているインドの階級制度で、
就ける職業までもカーストによって支配されるという特徴があります。
#現在は憲法でカーストは禁止されていますが、やはり未だに残っているらしい。
つまり、カースト間の移動は無いため、
下位カーストの人々は上位へと上る方法がありません。
そこへITという職種ができて、これをどのカーストの仕事にするかという話になります。
上級カーストの神官や貴族はそんな面倒な仕事はやりませんし、
そもそもIT技術者になるには能力と適正があるので誰でもなれるわけではない。
そこで、「できるやつがやる」というカーストに束縛されないITという職種ができたわけです。
下位カーストの人々が出世する道ができたわけで、
国中の優秀な若者が全員IT業界へ集まるわけですから優秀な人材が集まります。
#サッカーもバスケも卓球もない世界でプロ野球だけがあったらそのレベルが上がるのと同じ話。
非常に納得できるIT業界発展の理由があるのだなぁと気づきました。
一方で貧困の問題にも多くのページを割いています。
カーストは現世は前世の所行の結果で、
現世で上位カーストの言うことを従順に聞けば来世では上位のカーストになれるという
太古の時代にインド支配階級が作った制度。
下位カーストの人々はこの考えの下では下克上を起こそうとも思いません。
善し悪しは別にして、なんてうまい制度なんだろうと思わずにはいられません。
現実にインドはこの制度で3000年以上に渡って支配階級はその特権を教授したわけです。
興味のある方はwikipediaにも簡潔な記述がありますので読んでみてください。
もちろん、この本にはより詳しいインドの現在が書かれています。
大変興味深い1冊でした。
こんばんは。<br>日記を興味深く拝見しました。<br>私は10年以上前のまだまだ多感な時期(笑)にインドに行きました。その頃からITに対する興味は、ある種の人には並々ならぬ関心の強さを持っていたようですが、現在のインドのIT業界にそのように寄与しているのですね。<br>とても面白い内容でした。ご紹介いただきありがとうございました。
>たーさまさん<br>おお、インドにも行かれたことがあるのですか!<br>私は欧州好きなのでインドに行きたいと思うことはないのですが、<br>非常に興味深い国だなーと感じています。