2009-01-18 [長年日記]
_ [book] 量子暗号
日経BPエレクトロニクス編集員の石井茂さんの本。
もともと日経エレに掲載された記事をまとめたとのことで、
雰囲気も日経エレ風。
量子暗号のプロに取材した内容を石井さんが分かりやすく解説していく流れです。
現在の(正確には3年前くらいか)量子暗号の状況と、
BB84やBBM92などの各プロトコルがざっくりと理解できます。
物理の知識がなくても読めるくらいなので概況をざっと知りたい方にオススメ。
逆に物理の突っ込んだ話を知りたい人には物足りない感じかな。
私は物足りなさは感じたけど、現況が理解できたのがよかった。
特に「通信者同士の認証を量子暗号でどうやるのか、まだ決定打がない」のが分かったのはよかった。
量子暗号の仕組みで、「通信している相手が間違いなく通信したい相手である」ことを確認する必要がある。
現在の証明書などを使って認証する仕組みだと、
現在の証明書はRSA、大きな数の素因数分解が困難なことを利用した暗号、を用いているので
量子コンピュータなど素因数分解が高速に演算できる機器ができてしまうとそこから崩れてしまう。
量子暗号の枠組みで相互認証できる仕組み、どういうアプローチをとればいいんだろね。
あと、私の量子暗号の資料もupdateしたい点に気づけてきたので更新したいです。
9784822282752